【仲介手数料】売買契約を解除した場合、無効・取消しになった場合はどうなる?

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不動産売買の仲介手数料は、売主や買主が仲介を依頼した不動産業者に支払う手数料(報酬)です。

仲介手数料は成功報酬であり、売買契約の成立が請求権発生の要件です。つまり、不動産業者は売買契約が成立してはじめて手数料を受け取ることができます。

通常、売買契約を締結した時点では、不動産(目的物件)の引渡しが完了しておらず、売買契約締結後、数週間から数ヶ月後に、不動産の引渡しと残代金の支払い(決済)が同時に行われます。

今回は、契約締結後、引渡し・決済までの間に何らかの理由で契約を解除した場合(売買の相手方から解除された場合)、契約が無効・取消しとなった場合に、仲介手数料はどうなるのか、ということをお伝えします。

契約解除の場合と、契約が無効・取消しになった場合について、それぞれご説明させていただきます。

※仲介手数料のしくみや、いくらになるか計算する方法は、下記のページで詳しく解説していますので、よろしければご参考にしてください。

仲介手数料を計算しているイメージ

不動産売買の仲介手数料、媒介手数料がいくらになるか計算する方法

説明している様子の写真

【売買の仲介手数料】いつ、誰が誰に支払うもの?基本的なしくみとは?

売買契約を解除した場合

解除の理由や状況により仲介手数料が発生する場合と、発生しない場合があります。

不動産業者には、売買契約が成立した時点で仲介手数料の請求権が発生します。不動産の仲介手数料は成功報酬であり、売買の契約成立がその条件だからです。不動産業者の深刻なミスや落ち度がなく、依頼者(売主や買主)の自己都合により契約が解除になった場合には、基本的に仲介手数料は発生します。

また手数料が発生する場合でも、実際には引渡しが行われておらず、取引は完了していないので、全額ではなく売買契約までに発生した実費や、半額~8割程度の請求となるのが一般的です。

売買契約が解除となるケース

売買契約の解除とはどんなケースなのでしょうか。主な例と、仲介手数料がどなるかということを見ていきます。

  • 手付解除
  • 契約違反による解除
  • 融資利用の特約による解除(ローン特約)
  • 停止条件による解除
  • 反社会的勢力排除条項による解除
  • 引渡し前の滅失・毀損による解除

手付解除

売買契約を締結するときに、多くの場合、買主が売主に手付金を払います。金額はまちまちで5%~10%が一般的です。そして引渡し時に支払い済みの手付金を引いた、残代金を支払います。

買主が手付解除をする場合は、支払済みの手付金を放棄することで契約を解除します。(手付流し)

売主が手付解除をする場合は、受領済みの手付金を返金し、さらに手付金と同額を買主に支払うことで契約を解除します。(手付倍返し)

手付解除の場合、基本的に不動産業者は依頼者に仲介手数料を請求することができると考えられています。

ただし、引き渡しまで完了できていない状況なので、実際には半額程度の請求になることが一般的です。また、手付解除された側には落ち度がなく、手付金が手数料より少ない場合などは一方的に金銭的な損失となるので、請求が行われるかどうかは状況によるでしょう。

契約違反による解除

仲介手数料は全額、半額、8割などケースバイケースですが、通常は発生すると考えられます。裁判事例でも状況によりさまざまな判例が出ているので、金額がいくらになるのかは一概に言えません。

一般的には半額~8割程度となるケースが多いのではないでしょうか。また、解除された側に落ち度がないので、受け取る違約金なども考慮して話し合いにより解決することになるでしょう。

融資利用の特約による解除

ローン特約と呼ばれるものです。住宅ローン等を利用して不動産を購入する場合、一般的には次のような流れになります。

売買契約→ローン本審査→ローン承認→引渡しと残代金決済

こうした流れで取引を進めて行くので、もし契約後にローンの本審査が通らなかったら、残代金を支払うことができず契約違反になってしまいます。

このような事態を回避するために設けられたのが”融資利用の特約”です。ローン特約、ローン条項などとも言われます。

これは、もし期日までに住宅ローンの審査に通らなかった場合は、契約が解除されるという特約です。

この特約により契約が解除となった場合は、不動産業者も報酬請求権を失います。つまり、仲介手数料は払わなくてよいということになります。

停止条件による解除

停止条件のついた契約とは、将来不確定なことを契約の効力発生要件とした契約です。

たとえば、「借地権」や「建築条件付の土地」の売買契約などがあります。借地権付きの土地の場合は地主の承諾を受けることが要件だったり、建築条件付の場合は決まった建設業者との請負契約締結が要件だったりします。

その要件が満たされて(成就して)はじめて売買契約の効力が発生します。それまで契約の効力は発生しません。

この要件が満たされず、契約の効力が発生しない場合が、停止条件による解除です。この場合は、契約の効力が発生しないので、不動産業者は仲介手数料を請求することはできません。

反社会的勢力排除条項による解除

反社会的勢力を不動産取引から排除するために設けられた条項です。

売主または買主が反社会的勢力(暴力団や暴力団関連企業、または総会屋であったり、それに準ずる者)であったと判明した場合、取引の相手方は催告なしに契約を解除することができるとした条項です。また、解除された方は、相手方に対して契約書で定められた違約金を支払わなければなりません。

この条項により契約が解除となった場合も、契約違反による解除と同様、不動産業者は仲介手数料を請求する権利があると考えられます。

この条項とは別に、そもそも不動産業者は暴力団等の反社会的勢力との取引が禁じられているので、もし売主または買主がそうであると判明した場合、不動産業者はただちに取引を解除、停止しなければなりません。

引渡し前の滅失・毀損による解除

一般的な契約書では、地震や津波等の天災など売主、買主、不動産業者など当事者のだれにも責任がない理由で、引き渡し前に目的の不動産が滅失・毀損して売買の目的を達することができない場合は、契約を解除することができると定められています。

また、こうした事態になって、買主が契約を解除した場合は、売主は受け取った手付金等受け取ったお金を無利息で遅滞なく返還しないといけないと定められていることが一般的です。これは契約がなくなったと解するのが妥当ですので、不動産業者も当然、仲介手数料を請求することができません。すでに受け取った報酬がある場合は、無利息で遅滞なく返金する必要があります。

売買契約が無効・取消しになった場合

無効

結論から言うと、仲介手数料を支払う必要はありません。不動産業者も仲介手数料を請求することはできません。

仲介手数料は成功報酬であり、その要件は売買契約の成立です。無効になるということは、契約の効果が発生しない、認められないということです。

契約自体が無効であれば、形式的に契約が成立していても、報酬(仲介手数料)を請求する権利は発生しません。

契約が無効になる場合とは、錯誤や公序良俗違反などが認められる契約の場合です。

取消し

契約が取消されると、さかのぼって(遡及的に)効力を失います。つまりはじめからなかったものとされます。

はじめからなかったとされるので、契約の成立という目的は達成されておらず、仲介業者に報酬(仲介手数料)を請求する権利は発生しません。

具体的な例をあげると、詐欺や脅迫によって行われた契約などです。こうした契約は取消すことができます。その場合、当然、仲介手数料も払う必要はありません。

まとめ

この記事では、売買契約締結後にさまざまな理由で契約が解除となった場合に、仲介手数料がどうなるのかを説明させていただきました。

これまでの事例や、一般的にはどうなるのかということを中心に書かせていただきました。

また、契約前にしっかり調査をしたり、確認を行い、じっくり考え、できれば途中で解除にならないような取引を行うことが、本当は売主にも買主にもメリットがあると思います。

ただ、やむを得ない事業により、契約の解除が必要な場合もあるでしょう。その時は、解除前に当事者間で話し合いを行い、方針を決めることが望ましいでしょう。

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