不動産売買の仲介手数料、媒介手数料がいくらになるか計算する方法

仲介手数料を計算しているイメージ

仲介手数料は、不動産の売却や購入のときに、仲介(媒介)する宅建業者(不動産業者)に支払う手数料です。この手数料は法律(宅地建物取引業法)で上限が定められています。

仲介手数料は、不動産の売却や購入時にかかる代表的な費用です。土地や建物にかかるお金だけでなく、こうした諸費用をきちんと把握しておくことはとても大切です。

売買にかかる費用が正確にわからないと、自己資金をいくら用意すればいいのか、ローンをどのくらいの金額で申し込めばいいのかがわかりません。

今回は、この手数料のしくみや、どうやって計算するのか、そして具体的にいくらになるのかということを、くわしく説明していきたいと思います。

前半では仲介手数料の詳しいしくみや正式な計算のやりかたをお伝えし、後半では不動産の取引金額別に仲介手数料を簡易に計算できる方法をご説明させていただきます。

詳しいしくみ等は知る必要がなく、実際に計算する方法だけが知りたい方は、後半の「仲介手数料の簡易計算の方法」だけ読んでいただければ大丈夫です。

仲介手数料と媒介手数料
仲介手数料と媒介手数料は同じ意味です。言い方が違うだけで、どちらも不動産の売買や賃貸の、仲介=媒介にかかる手数料を指します。また、媒介報酬(ばいかいほうしゅう)とよばれることもあります。
別々の手数料がかかるわけではないのでご安心ください。また、本サイトでは基本的に“仲介手数料”で統一させていただきます。

仲介手数料の基本的なしくみ

仲介手数料の基本

不動産の仲介手数料は、取引金額(売買価格)により法律で上限が定められています(宅地建物取引業法)。

具体的には、取引金額に決まった手数料率を掛けて算出します。

※仲介手数料には消費税がかかります。

仲介手数料の基本
(取引価格 × 手数料率) + 消費税 = 仲介手数料

また、この手数料率は取引金額の大きさによって変わってきます。

取引金額(売買価格)手数料の上限
200万円以下の部分5% + 消費税
200万円を超え400万円以下の部分4% + 消費税
400万円を超える部分3% + 消費税

※「200万円を超え」、「400万円を超え」というのは、200万円や400万円は含まず、2,000,001円から、4,000,001円からという意味です。

仲介手数料の具体的な計算方法

例として、取引金額1,000万円の場合を計算してみましょう。

上記の表を見て、400万円を超えるので3%だ!と考えて1,000万円×3%の計算をするのは間違いです。

× 間違い 1,000万円 × 3% + 消費税 

“~以下の部分”、”~を超える部分”というのが少しややこしいのですが、正解は以下のようになります。

まず1,000万円を次の3つの部分に分けます

  1. 200万円以下の部分
  2. 200万円を超え、400万円以下の部分
  3. 400万円を超える部分

そしてそれぞれの部分に上記表の手数料率を掛けて合計し、最後に消費税を加算します。実際にやってみます。

正解
200万円(200万円以下の部分)× 5% = 10万円

200万円(200万円を超えて400万円以下の部分)× 4% = 8万円

600万円(400万円を超える部分)×3% = 18万円

① + ② + ③ = 36万円

この金額に消費税を加算します。

36万円 × 1.1(消費税10%)= 39万6,000円

これが正式な仲介手数料の計算方法です。

消費税の計算について
消費税は、今回の計算のように最後に加算しても、手数料率に最初から加えて計算しても同じ結果になります。

最初から加える場合は、例えば200万円以下なら5.5%、200万円を超えて400万円までなら4.4%、400万円を超える部分なら3.3%を掛けるようにします。この合計が消費税込みの仲介手数料になります。

宅地建物取引業法で定められた手数料の規定は、不動産会社(仲介業者)が受け取ることができる報酬の上限です。

基本的なしくみはこのようになります。また注意するのは400万円以下で売主の場合だけ平成30年1月1日より報酬の規定が変わったということです。次の項でくわしく説明します。

400万円以下の不動産を売却する場合の手数料の特例

国土交通省は、宅地建物取引業者が売主から受け取る報酬の上限を改正しました。平成29年12月告示改正、平成30年(2018年)1月1日より施行されています。

この告示は一般的に、「低廉な空家等の売買取引に関する特例」などと呼ばれています。~空家等~と呼ばれていますが、実際は土地も含みます。

具体的には、宅建業者は400万円以下の不動産取引の仲介において、先ほど説明した報酬(仲介手数料)の上限に、現地調査の費用などを加えた合計が、最大で18万円+消費税となる報酬を受領することができるようになりました。

もし不動産の価格が400万円であれば、告示改正前の計算方法でも18万円+消費税になりますが、200万円や300万円の場合は18万円以下になっていました。この告示改正後は例えば不動産の価格が200万円や100万円など400万円以下の売買価格でも、宅地建物取引業者は最大で仲介手数料と現地調査等の費用を合わせて、最大18万円+消費税の報酬を受領することができるようになりました。

この特例は売主から受領できる報酬に限られ、買主から受領できる報酬の上限は今まで通り売買価格に規定の手数料率を掛けた金額が上限となります。

例えば、200万円の不動産売買の場合、報酬(手数料)がどうなるかを確認してみましょう。

告示改正前

(200万円 × 5%) × 1.1(消費税)= 11万円 が報酬の上限

告示改正後

(200万円 × 5%+ 調査等の費用)× 1.1(消費税)≦ 18万円 + 消費税

つまり200万円の場合は仲介手数料が10万円で、宅建業者が請求できる調査費用等の上限が8万円となります。報酬の合計の上限が18万円+消費税です。

特例のポイントとまとめ

  • 400万円以下の不動産売買であること。
  • この特例は売主に対する手数料が対象で、買主については適用できない。
  • 仲介手数料に調査費用等(人件費含む)を加えた報酬の合計の上限が(18万円+消費税)となる。
  • 調査費用等の費用については媒介契約時など、事前に説明して売主と合意しておく必要がある。また、実際に調査費用等を請求する際は、根拠を示す必要があります。

この特例のさらに詳しい内容については、公益財団法人不動産流通推進センターのページをご参照ください。

仲介手数料の簡易計算の方法

ここまで仲介手数料のしくみや、正式な計算のやり方について説明させていただきました。

ここからは、実際に実務者をはじめ、多くの方が行っている簡易計算のやり方を説明させていただきます。しくみ等がわからなくても、基本的にはこの簡易計算で仲介手数料を算出することができます。

簡易計算は取引金額によって、3種類あります。

  • 取引金額200万円以下
  • 取引金額が200万円を超え400万円以下
  • 取引金額が400万円を超える場合

それぞれとても簡単な計算ですので、以下の説明を参考にぜひ一度ご自身でいろいろな計算を試してみてください。

取引金額とは、あなたが売却または購入する不動産の売買価格です。

取引金額が200万円までの場合

取引金額 × 5% × 1.1

例)取引金額150万円

150万円 × 5% × 1.1 = 8万2,500円

取引金額が200万円を超えて400万円までの場合

(取引金額× 4% + 2万円)× 1.1

例)取引金額300万円

(300万円 × 4% + 2万円)× 1.1 = 15万4,000円

取引金額が400万円を超える場合

(取引金額× 3% + 6万円)× 1.1

例)取引金額500万円

(500万円 × 3% + 6万円)× 1.1 = 23万1,000円

例)取引金額1,000万円

(1,000万円 × 3% + 6万円)× 1.1 = 39万6,000円

例)取引金額1億円

次に取引金額が1億円の場合はどうなるでしょうか?

この場合も400万円を超えているので、

(1億円 × 3% + 6万円)× 1.1 = 336万6,000円 となります。

簡単ですね(^^)/

以上が簡易計算の方法になります。

まとめ

仲介手数料を計算する場合は、あなたが売却または購入しようとしている物件の価格がいくらなのかをまず確認してください。

そして取引金額に応じた計算方法を使って計算を行います。

実際に取引を行う場合は、不動産会社が計算してお客様に提示しますが、売却や購入を検討する段階の時に自分で計算できれば便利ですよ。また、簡易計算を使えば簡単に計算できますので、間違っていないかどうか確認することができます。

間違いなんかないだろうと思うかもしれませんが、プロでも時には間違う場合があります。あなたの大切なお金です。確認できることはきちんと確認しましょう。

今回の記事を諸費用の把握や取引の検討に役立てていただければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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