家やマンションを売却するときには、家の中の家財や荷物、家具、家電などは売主が片付けるのが基本です。また、庭や屋外の倉庫にある物も、基本的には売主が処分します。
家によって荷物の種類や量はさまざまですが、この記事では何をどのように、いつ片付ければよいのか、費用はどれくらいかかるのかを解説します。
また、場合によっては片付けずにそのまま売却できるケースや、片付ける場合でもより費用をかけない方法についても解説します。
家やマンションを売る時の片づけは誰がするのか
中古住宅やマンションであれば、ふつうは家具・家電などの家財やいろいろな荷物があると思います。不動産を売る時に、こうした荷物などの片づけは売主が行うの一般的です。売主、買主のどちらが行うべきかという明確な法律や規定はありませんが、基本的には売主が行うというのが不動産売買における習慣であり、一般的な決まりとなっています。
理由は主に3つあると思います。1つは心情的なものです。例えば、そこで住むために家やマンションをかったのに、他人の荷物がたくさんあって、自分が処分しないといけないという状態は、普通は避けたいと感じるでしょう。また、他人のものでも、例えば写真などがあれば、なんとなく捨てにくいという気持ちになる人もいます。
2つ目は、費用に関する問題です。ほとんどの方はそこに住むために、必要な経費も含めたお金を払って、家やマンションを購入します。追加で荷物の処分費用を負担するということに抵抗を感じる方も多いと思います。
費用に関しては、片付けの見積もりを取って、売却価格からその分値引きしてもらうという方法もあります。また、相場よりは安い金額で売却するので、荷物はそのままというケースもあるでしょう。でも、不動産の価格というのはその地域やその時の相場できまるので、片付け費用を引いた価格というのも実際のところどうなのかわかりにくいのが現状です。明らかに相場より安ければ納得できるかもしれません。
3つ目は、トラブルの防止です。例えば、売主は荷物の所有権を放棄して、買主が購入後に片付けたり自由に処分するという場合を考えます。買主が家やマンションを取得して片付けを始めた時に、食器棚の奥に現金や高価な貴金属があったとします。当然普通は、売主は家屋にある動産の所有権を放棄して、買主が自由に処分できるということを契約で決めているのでしょうが、それが売主に伝わった場合、なんらかのもめごとになるかもしれません。
また、後で思い入れのある物があったので、返してほしいと売主が希望した場合にどうするのかということも考えられます。契約で決めた通りにする、ということで通常は問題ないと思いますが、なるべくならトラブルや煩わしいやり取りは避けたいと思います。
このような理由などから、家やマンションを売る場合の荷物は、売主が片付けるというのが一般的な習慣となっています。
何をどこまで片付ける必要があるのか
何をどこまで片付けるのかというと、明確な決まりはありませんが、基本的には新築時のようにまだ荷物を搬入していない状態まで片付けます。家具・家電・雑貨類・食品など動かせるものは基本的に片付けます。
例外としては、まだ使えるエアコンなどの家電や家具、その他買主が残しておいて欲しいと希望する物がある場合、そのままにしておく場合もあります。その場合はトラブル防止のため、売主と買主が同意の上、何を残しておくのかということを契約書等、文書で明確に規定する必要があります。
片付けは自分でやるか業者にたのむか
片付ける方法としては、自分でやる方法と、業者に依頼して片付けてもらう方法があります。
自分で片付ける場合は、費用は安くなりますが、荷物が多い場合はかなりの時間と労力が必要です。
業者に頼めば、残しておくものを伝えるだけで、どんどん運び出して片付けてくれます。普通の家やマンションであれば2、3日で片付けが完了するでしょう。そのかわり費用は自分でやる場合にくらべてかなり高くなります。
どちらにするかは、体力やどれくらい時間をかけれるのか、そして費用をできるだけ安くしたいのかなど、人それぞれです。一般的には家1棟分の家財全部を一般の方が全て片付けるというのはハードルが高いと思います。
また、できる範囲で自分で片付けて、残りを業者に片付けてもらうという方法であれば、あまり無理をせずに費用を削減できる可能性があります。
片付けにかかる費用
片付け業者に片付けを依頼した場合かかる費用は、荷物の量や地域によって全く変わってきます。また、同じ条件でも、依頼する業者によってかなり変わる場合があります。
福岡県では、3LDK以上の中古住宅やマンションの場合30万円~40万円くらいになる場合が多いです。もちろん荷物の量やその他の条件、依頼する業者によって変わってきます。
荷物がかなり少ない場合、10万円くらいで片付けることができる場合もありますが、荷物がかなり多ければ50万円以上かかる場合もあります。
片付けを業者に依頼した場合の費用は主に次の要素で決まります。
- 依頼する業者の設定価格
- 荷物の量
- 荷物の種類
- 家の間取やマンションの階数
- 道路までの距離や敷地内にトラックをとめれるかどうか
- ごみ処分場までの距離
- ゴミ処分場の費用(地域によって違います)
費用については、特に注していただきたいのが、依頼する業者によってかなり違いがあるということです。必ず合い見積もりをとった方がよいでしょう。また、家やマンションの売却を依頼する不動産会社に紹介してもらうのもおすすめです。地域の安くて良心的な業者を知っている場合があります。当社も福岡県であれば、良心的で価格も割安な業者を知っています。
片付けのタイミング
片付けのタイミング、いつ片付けをするのかというのは、可能であれば一般に情報を公開して売却を開始する前がよいと思います。なぜなら、購入を検討する方が実際に家やマンションを内覧した時、当然きれいな方が良い印象を持ちます。良い印象を持っていただいた方が、より早く売却できます。
また、家やマンションの荷物の量によっては売れる価格にも影響する場合がありますので、できるだけきれいな状態で購入を希望する方に見てもらった方が、売主にとってもメリットがあります。
ただ、費用が先にかかるので、売却が決まってから引渡しまでに片付けたいという方もいます。その辺はご事情によって柔軟に対応していく必要があります。片付けをせずに、そのままの状態で売却する場合でも、できるだけきれいにしておくだけで良い効果があると思います。
また、ある程度きれいであれば、家具や家電などがあっても、売却価格やスケジュールにあまり影響はありません。
片付けずにそのまま家やマンションが売れる場合
片付けをせずに、そのままでも家やマンションを売却することができます。基本的に買うのは不動産業者などで、一般の方がそのまま購入することは少ないです。
片付けをせずに、そのままの状態で売却することで、売主の労力や時間は削減できますが、よく考えておくべき点もあります。通常、不動産業者が買い取る場合の金額は、一般の方が買う場合に比べてかなり安くなります。
不動産業者も営利企業なので、そのままで買い取るかわりに、相場より安く買って、より多くの利益を出そうとします。それ自体はどの業界でも同じですし、違法なことではありません。
例えば、一般の方に売れる価格が2,000万円で、不動産業者の買取価格が1,500万円の家やマンションがあるとします。片付け費用は50万円くらいかかりそうです。また、一般の方に売る場合は通常仲介手数料がかかり、この場合は726,000円になります。自分で片付け費用を出して、仲介手数料を払っても2,000万円で売れれば、片付けずに1,500万円で買い取ってもらった時より、売主の手元に残るお金は多くなります。※買取の場合は通常、仲介手数料がかかりません。
これは1つの例えなので、どちらが売主にとって得になるかはケースバイケースです。ただ、片付け費用自体は誰がやるかに関わらず必ず必要になるもので、たとえそのままの状態で売却す場合でも、結局は価格に反映されるということです。必ずとは言えませんが、通常は片付け業者に依頼して片付けたうえで、一般の方に売却する方法が売主にとっても最も得になるケースが多いでしょう。
片付け費用を削減する方法
片付け費用を削減する方法は、相見積もりをとる事、できることは自分でやること、リサイクルショップなどに買い取れるものは買い取ってもらうことです。
- 相見積もりをとり、できるだけ安い業者に依頼する
- 可能な範囲で自分で片付ける
- 自分でヤフオクやメルカリで売ったり、リサイクルショップなどを利用する
片付けの費用は依頼する業者によってかなり違います。よっぽど信頼できる方からの紹介など以外は、2社から3社の見積もりをとることをおすすめします。
全部ではなくても、もしご自身で時間が取れる場合、無理のない範囲で片付けをすれば費用の削減ができます。例えば燃えるごみなどは、指定の袋にいれて可燃ごみの日に出したりするだけで、荷物の量は結構減ることがあります。また、粗大ゴミや家電も公共のサービスで安く処分できる場合があります。人によってはトラックを借りて、処分場まで自分達で運んで、費用をかなり削減する人達もいます。
また、売れそうなものをヤフオクやメルカリで売るという方法もあります。どんなものが売れるかは、ヤフオクやメルカリの出品等を見てから判断します。場合によっては高い金額で売れることもあります。かなりの労力や時間もかかるので、難しい場合はリサイクルショップなどに査定を依頼して買い取ってもらう方法もあります。自分で売るよりはかなり安くなると思いますが、あまり手間はかかりませんし、物が少なくなった分、片付け業者の費用も安くなる可能性があります。
まとめ
家やマンションの片付けについて、基本的には売主が片付けをすることや、購入希望者が内覧するときには片付けが完了している方が売れやすいこと、またはより高く売れる可能性があることなどについて解説しました。
一般的にはその通りですが、売主の事情などによりいろいろと柔軟な対応が行われているのが実情です。家やマンションの片付け自体に明確な決まりなどはありませんので、一般的なことを理解したうえでご自身の状況に合わせた対応を考えていく必要があります。
できれば売却の検討を始める段階で、不動産業者などと相談して、片付けの方針をしっかり決めてから売却を開始することをおすすめします。