新築の建売住宅を買ったり、注文で新築を建てたときに保証がつきますよね。この保証についてみなさんどう考えてますか。
「まああるのはいいけど、大して気にしない」というのが私の率直な意見になります。え、なんで?保証って大事でしょ!って思うかもしれませんが、私はあまり気にしていません。保証の中でも特に長期保証というのはどういうものか正確に理解した方がいいと思います。会社によっては長期保証30年、40年、50年、もしくはもっと長い年月をうたっているところもあります。
まあ保証内容について確認するというのは大切なことでしょうけど、物件を決める、ハウスメーカーを決めるポイントとして長期保証がどれだけあるのかを基準に決めるというのは、あまり意味がないと思います。
当社は多くのお客さんに様々な会社やメーカーの新築住宅を販売していますが、多くの方が長期保証について次のような印象を持っているように感じます。「長期保証があれば将来のメンテナンス費用が安くなる」。「設備の故障や不具合があってもメーカーが無料で修理、交換してくれる」。また、内容をしっかりと確認せずに、漠然と「長期保証があれば安心」と感じている方もいます。
でも、よく考えてみてください。そもそも家や設備は古くなるものです。機械は当然故障することもあります。だから家を長く使うためには屋根や外壁の塗り替えなどのメンテナンス、設備の修理や交換が必要になります。こういった費用は30年、40年で数百万円以上かかり、それをハウスメーカーや建設会社がずっと負担してくれるなんてことがあるでしょうか。ハウスメーカーも建設会社も営利企業でありボランティアではありません。基本的に、こうした費用は家の持ち主が負担することになるのです。長期保証60年なんてついてる家でもこれは変わりません。もしハウスメーカーが負担するなんてことがあるなら、それは当初の金額にメンテナンス費用を乗せているとしか考えられません。
もし、建て方に問題があり、家が傾くなどの構造的な問題があったり、雨漏りしたなんてことがあれば、これはそもそも法律でハウスメーカーや建設会社が一定期間(10年)保証するように義務づけられています(住宅の品質確保の促進等に関する法律)。
メーカーや建設会社の長期保証には必ず条件があります。ほとんどの場合、詳細は多少違っても、メーカーでの定期点検とメーカー指摘のメンテナンス工事をメーカーがやるという内容です。例えば、15年くらいで壁の塗り替えをしてください。工事は当社がやります。他社にたのめば保証は中止します。という感じです。もちろんメーカーがメンテナンス工事をしてるので、壁からの雨漏りなどはメーカーが保証します。その他屋根なども同じになります。
実際メーカーのメンテナンス費用は高い可能性があります。しかし長期保証を継続するならメーカー指定の工事しか選択できません。
なにが言いたいのかというと、長期保証がダメとか意味ないとかいうことではありません。こうした現実をしっかりと理解して、長期保証が家やハウスメーカーを選ぶための判断基準となるかどうかを考える必要があります。
長期保証というのはメーカー等の、他社との差別化などのマーケティング戦略、営業戦略、宣伝という意味合いがあるのは間違いありません。結局かかるメンテナンス費用は家の持ち主が負担するというのは基本的に変わらないからです。もちろん、手抜き工事の結果などは除きます。また、設備機器などはもとも何年間かの保証があり、メーカーによっては有料で延長することができる場合があります。
長期保証のメリットとしては、メーカーに任せておけば、費用はかかるけど必要な時期に必要なメンテナンスをやってくれるということでしょう。
どのメーカー、建設会社を選ぶかという判断基準の一つとして長期保証を考えることは良いことだと思います。そして、それは一部であり、本質的に信頼できる会社かどうかということ、あなたが希望する家になるかということ、全体のコストなど考えることは他にもたくさんあります。