不動産売却時の譲渡所得についての解説と計算方法

不動産売却時の譲渡所得についての解説と計算方法

不動産を売却した時の譲渡所得について解説します。

不動産の譲渡所得は、不動産売却時の税金の計算に使います。不動産売却時の譲渡所得税は、譲渡所得に規定された税率を掛けて計算します。

不動産売却時の譲渡所得を出すことで、どれくらいの税金を払う必要があるかがわかるようになります。

この記事でわかること
  • 不動産の譲渡所得とは何なのか
  • 不動産の譲渡所得の計算のしかた
  • 譲渡所得から税金を計算する方法

不動産の譲渡所得とは何なのか

不動産の譲渡所得というのは、売った値段(売却価格)ではなく売却益のことです。

不動産を売った時に譲渡所得(売却益)が出れば、売却益に既定の税率を掛けて、支払うべき税金を計算します。

物を売る場合の利益に似ています。税金は売り上げに対してかかるわけではありませんよね。通常は利益に対して税金がかかります。

例えば、Aという商品を販売する場合を単純化して考えると、まずAを仕入れる必要があります。Aの仕入れ額は900円人件費や広告費、家賃などの諸経費が200円売値が1,500円だったとします。この場合の利益は400円になります。

物を売る場合の利益

1,500円(売値)-900円(仕入値)-200円(諸経費)=400円(利益)

不動産で考えると、A(不動産)を買った時の価格が1,000万円販売する経費(仲介手数料などの譲渡費用)が100万円不動産の売却価格が1,500万円のだったとします。この場合の譲渡所得(売却益)は400万円になります。

不動産の場合の譲渡所得(売却益)

1,500万円(売却価格)-900万円(取得費)-200万円(譲渡費用)=400万円(譲渡所得)

不動産では、控除の対象となる場合は、売値からさらに特別控除額をひいて譲渡所得を求めます。

この場合、不動産売却時の税金は400万円に既定の税率を掛けて計算します。

このように不動産の譲渡所得は、物を売った時の利益のようなものだと考えるとわかりやすくなります。

譲渡所得の計算のしかた

譲渡所得について、物を売る場合に例えて説明しました。ここからは詳しく譲渡所得の計算のしかたについて説明します。

譲渡所得の計算方法

譲渡所得の計算方法自体は単純です。

譲渡所得の出し方

譲渡所得 = 売却価格 ー 取得費 ー 譲渡費用 ー 特別控除額

売却価格は不動産を売った価格になります。あと、細かく言うと、不動産売買時には固定資産税額を按分して精算するので、このお金は税務上は売却価格の一部とみなされます。

正確に言うと売却価格は、不動産を売った価格と固定資産税精算金の合計になります。

取得費は売却した不動産を、以前購入、取得した時の価格と、取得に要した諸経費などになります。

譲渡費用は不動産を売却した時の諸経費などです。代表的なものとしては仲介手数料があります。

不動産売却で一定の条件に当てはまる場合は、売却価格から特別控除額を引いて譲渡所得を計算することができます。つまり、税金の計算の元(課税標準額)となる譲渡所得が小さくなるので、支払うべき税金を減らす効果があります。

譲渡所得の計算自体は単純ですが、何が取得費で、何が譲渡所得なのか、どういった場合に特別控除の対象になるのかということは少し複雑です。

取得費、譲渡費用、特別控除について詳しく見てみましょう。

取得費となるもの

不動産の取得費とは、基本的には売却した不動産を買った時、取得した時にかかったお金のことになります。

主なものを紹介します。

  • 土地の購入代金
  • 建物の購入代金(減価償却費相当額を差し引いた金額)
  • 仲介手数料
  • 登録免許税
  • 印紙税(印紙代)
  • 不動産取得税
  • 登記費用
  • 土地の造成費用
  • 測量費

土地は購入金額が取得費となりますが、建物の代金や建築費などは所有期間分の減価償却費相当額を差し引いた金額が取得費となります。

事業用の不動産の場合、登録免許税、印紙税、不動産取得税などの税金は取得費に含まれません。

取得費がいくらかかったかというのは、契約書や領収書などで確認します。書類などがない場合は、実際にかかった費用を証明できる、客観的な事実などを提示できれば税務署に認められる場合もあります。

贈与や相続で取得した不動産に関しては、被相続人の取得費を受け継ぎます。わかりやすく言うと、以前持っていた人が取得した費用を取得費とすることができます。

取得費が全く分からない場合は、売却価格の5%を取得費として譲渡所得を計算することができます。

また、実際に取得費が売却価格の5%以下である場合も、売却価格の5%を取得費とすることができます。

取得費の詳細については国税庁のウェブサイトをご確認ください。

「No.3252 取得費となるもの」 国税庁ウェブサイト

譲渡費用となるもの

譲渡費用は不動産を売るために直接かかった費用になります。ポイントは直接かかったというところです。

譲渡費用となる主なものは2つあります。

  • 仲介手数料
  • 印紙税(印紙代)で売主が負担したもの

その他には、貸家を売るときに借家人に立ち退いてもらうために支払った立退料などがあります。

また、古家を壊して土地として売るためにかかった取壊し費用なども譲渡費用となります。

あとは、不動産の売買契約後に、さらに高く買ってくれる人が出てきて、その人に売るために既存の契約を破棄するために支払った違約金も対象になります。

借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書き換え料なども対象となります。

譲渡費用として認められるのは、売るために直接かかった費用となります。したがって、次のようなものは譲渡費用としては認められません。

  • 修繕費
  • 固定資産税
  • 毎年の草刈り費用

これらのものは維持管理のための費用となり、譲渡費用ではありません。また、売った代金の取立費用なども譲渡費用とはなりません。

ポイントは、「売るために直接かかった費用」ということです。毎年維持管理で草刈りをしていた場合の費用は譲渡費用とはなりませんが、売却が決まったのできれいに見せるために草刈りをしたという場合は譲渡費用になる可能性があります。

何が対象になるかどうかは、税務署の判断になると思うので、疑問に思ったら税務署に相談することをおすすめします。

譲渡費用の詳細については国税庁のウェブサイトをご確認ください。

「No.3255 譲渡費用となるもの」 国税庁ウェブサイト

特別控除の特例

一定の条件を満たすと、不動産の売却金額から特別控除額を引くことができます。つまり課税の対象となる譲渡所得を減らすことができるので、税金が安くなるということです。

特別控除の特例には次のものがあります。

  • 公共事業などのために土地建物を売却した場合の5,000万円の特別控除の特例
  • 居住用財産(マイホーム)を売却した場合の3,000万円の特別控除の特例
  • 特定土地区画整理事業のために土地を売却した場合の2,000万円の特別控除の特例
  • 特定住宅地造成事業などのために土地を売却した場合の1,500万円の特別控除の特例
  • 平成21年と平成22年に取得した国内の土地を売却した場合の1,000万円の特別控除の特例
  • 農地保有の合理化などのために土地を売却した場合の800万円の特別控除の特例
  • 低未利用土地等を売った場合の100万円の特別控除の特例

特別控除の特例についての詳細や注意点については国税庁のウェブサイトをご確認ください。

「No.3223 譲渡所得の特別控除の種類」 国税庁ウェブサイト

また「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」については、当サイトでも詳しく説明しているので参考にしてください。

譲渡所得から税金を計算する方法

ここまで、譲渡所得の計算方法について解説しました。ここからは、計算した譲渡所得にどういう税金がかかるのかを見ていきます。

譲渡所得(不動産売却益)にかかる税金は次の3つがあります。

  • 譲渡所得税(30%または15%)
  • 復興特別所得税(9%または5%)
  • 住民税(譲渡所得税の額の2.1%)

また、譲渡所得税と住民税の税率は、不動産の所有期間が5年以下と5年を超える場合で変わります。

不動産売却時にかかる税金は他に、印紙税(印紙代)があります。その他、状況によっては登録免許税などがかかることがあります。

税金ではありませんが、不動産売却で所得が増えたことにより、自営業の方などは翌年の健康保険料が増える場合があります。具体的には国民健康保険と後期高齢者医療保険の対象となる方は、健康保険料が翌年の1年分が上がる可能性があります。

不動産の所有期間が5年以下の場合

不動産の所有期間が5年以下の場合の譲渡所得を短期譲渡所得といいます。短期譲渡所得の譲渡所得税率は30%です。住民税は9%になります。

また、平成25年1月1日から令和19年12月31日までは復興特別所得税がかかります。復興特別所得税は所得税額の2.1%となります。つまり譲渡所得税率30%に対して2.1%所得税が加算されることになります。

復興特別所得税は所得税額の2.1%なので30% × 2.1% = 0.63%となり、これが復興特別所得税率として加算されます。

譲渡所得税と復興特別所得税、住民税を合わせると短期譲渡所得にかかる税率は39.63%になります。

所得税30% + 復興特別所得税0.63% + 住民税9% = 39.63%

まとめると計算方法は次のようになります。

短期譲渡所得に対する税金の計算方法

税金 = 譲渡所得 × 39.63%

不動産の所有期間が5年を超える場合

不動産の所有期間が5年超の場合の譲渡所得を長期譲渡所得といいます。長期譲渡所得の譲渡所得税率は15%です。住民税は5%になります。

復興特別所得税は所得税額の2.1%となります。譲渡所得税率15%に対して2.1%所得税が加算されることになります。

復興特別所得税は所得税額の2.1%なので15% × 2.1% = 0.315%となり、これが復興特別所得税率として加算されます。

譲渡所得税と復興特別所得税、住民税を合わせると長期譲渡所得にかかる税率は20.315%になります。

所得税15% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5% = 20.315%

まとめると計算方法は次のようになります。

長期譲渡所得に対する税金の計算方法

税金 = 譲渡所得 × 20.315%

同じ金額で売却した場合でも、所有期間によって税金はかなり変わってきます。譲渡所得が1,000万円の場合、短期譲渡所得であれば約396万円、長期譲渡所得であれば約203万円になります。

不動産売却時の税金の基本的なしくみについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

まとめ

不動産を売るときにまず気になるのは、いくらで売れるのかということだと思います。売れたらお金がもらえるから、当然いくらなのかということが気になりますよね。

でも、売れた金額をそのままもらえるとは限りません。ご存じのように、多くの場合、収入があれば税金がかかります。不動産売却も、譲渡所得(売却益)がでれば税金がかかります。

不動産売却を考える時に、いくらで売れそうなのかということと合わせて、どれくらいの税金がかかるのかということも考えておく必要があります。

売却価格と必要な納税額を出すことで、本当に手元に残るお金がどれくらいなのかということがわかります。

実際に手にするお金がいくらになるのかある程度予測できれば、いろいろな計画も立てやすいと思います。

この記事で説明したように、少し複雑な部分もありますが、一般の方でもある程度、税金がどれくらいになるのかということは計算できると思います。

もちろん売却を依頼する不動産会社や税務署などに相談すれば教えてくれると思いますが、自分でもある程度理解することで、積極的に不動産売却に関わることができると思います。

専門的なことはプロに任せるというのは効果的であり、おすすめできることではありますが、まかせっきりというはやめた方が良いと思います。

不動産売却はプロに任せるが、おおまかなことは理解して、しっかりと目を光らせるということが必要だと思います。

ぜひ、本記事をよんで、あなたの不動産売却に役立ててほしいと思います。

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