不動産ポータルサイトなどで物件を検索していると、同じ物件が複数の違う会社から掲載されていることがあります。
この場合、どこの会社から買ったらいいんだろうかと悩みますよね。また、なにか違いがあるのかどうかや、買う会社が違うことによって得することがあるのかどうかなど気になりますよね。
結論を伝えます。
- 不動産、物件に違いがあるのか。
基本的に同じで、違いはない。
- 同じ物件を違う会社から買うことで、得したりすることがあるか。
可能性はある。
また、同じ物件をなぜ複数の違う会社が販売・掲載しているかとういう理由は、主に2つあります。
1つは売主が不動産の売却を複数の会社に依頼しているからです。
もう1つの理由は、売主から不動産の販売を依頼された不動産会社が、他の不動産会社にも広告を許可しているからです。
この記事では、同じ物件が違う不動産会社でも販売・掲載されている理由について、その仕組みや、どの会社から買うべきなのかの判断基準などを詳しく解説します。
物件に違いはあるのか
物件に違いはない
複数の会社から同じ物件が売りに出されている場合、基本的に物件に違いはありません。同じ物件です。
例えば、同じ物件でも買う会社によって設備のグレードが違ったり、食洗器がついていたりというのは基本的にありません。
1つの同じ物件を複数の会社が販売しているという言い方もできます。
価格に違いがあるのはなぜなのか
ポータルサイトなどで同じ物件でも、掲載している会社によって価格が違うことがあります。これはなぜなのでしょうか。
理由は単純で、価格変更があったのに情報を反映していないだけです。
例えばある物件の価格が初め3,000万円だったとします。なかなか売れないので、価格が2,900万円になりました。価格変更があった場合、掲載している不動産会社はポータルサイトなどの価格を変更します。
不動産会社の中には、物件の価格が変更になったことを知らなかったり、ポータルサイト等の変更が遅れることがあります。こうした理由で、同じ物件でも掲載している会社によって価格が違うという状況が発生します。
もし同じ物件を他の会社より高い価格で掲載している会社を見つけたら、電話してみてください。たぶん「すぐ変更します!」と言うでしょう。
買う会社によって違いはあるのか
同じ物件を、違う不動産会社で買うことによって、買主にとって何か違いがでる可能性はあるのでしょうか。実は違いがでる可能性があります。
例えば、不動産を買うときには通常、仲介手数料がかかりますが、どの会社から買うかによって仲介手数料が変わることがあります。
不動産会社の中には、物件によっては仲介手数料半額や無料にしたり、キャッシュバックなどのサービスを行っていることがあります。こうした場合、同じ物件であってもどの不動産会社で購入するかによって、買主にとっては金銭的なメリットが出る可能性があります。
また、中には不動産会社独自の特典としてエアコン1台無料や、特別なプレゼントなどのキャンペーンを行っている場合もあります。
このように、物件自体は変わりませんが、購入する不動産会社によってメリットがある場合があります。
複数の会社が販売・掲載している理由
なぜ同じ物件を複数の違う会社が販売・掲載しているかという理由は主に2つあります。
- 売主が複数の不動産会社に売却を依頼している
- 売主から依頼を受けた不動産会社が他社にも広告を許可している
複数の不動産会社に売却を依頼している場合
不動産の所有者が不動産を売りたいと思った時、不動産会社に売却を依頼します。そして売却を依頼する不動産会社が1つとは限りません。
不動産の所有者が3社に売却を依頼すれば、3社それぞれが自社サイトやポータルサイトなどで物件の広告を行います。
このような理由で複数の違う不動産会社がポータルサイトなどに同じ物件を掲載するという現象が起きます。
できるだけ多くの会社に売却を依頼した方が早く売れると考える方はいます。複数の不動産会社に依頼すれば競争原理が働くと考える気持ちはわかりますが、現実的には多くの会社に依頼すればするほど早く売れるとは限りません。
複数の会社に依頼すること自体は問題ありませんし、状況によっては良い判断だと思います。当社は、何社かに売却の相談をして、まずは信頼できる1社に依頼することをおすすめしています。ずっと同じ会社に依頼し続ける必要はないので、問題があれば別の会社に依頼することもできます。
ただし、媒介契約の内容によっては、一定期間別の会社に依頼することが制限されますのでご注意ください。
また、売却を依頼する不動産会社と専属専任媒介契約または専任媒介契約を結んでいる場合は、複数の会社に売却を依頼することができません。一般媒介契約であれば複数の会社に売却を依頼することができます。
媒介契約についてはこちらの記事をご確認ください。
【売買契約と媒介契約】不動産売買で必要な2つの契約とその違い
売却依頼を受けた不動産会社が他社に広告を許可している
不動産売却のしくみには『共同仲介』という原則があります。
共同仲介というのは、不動産の所有者が不動産Aの売却を石橋不動産に依頼している場合、他の不動産会社も自社のお客さんに、不動産Aを紹介できるというしくみです。
不動産業界にはこの共同仲介をスムーズに行うためにシステムがあります。
『Real Estate Information Network System 』不動産流通標準情報システム、略して『REINS(レインズ)』と言います。REINSは国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しています。
REINSには全国の不動産会社が売り物件や賃貸物件の情報を登録しています。会員になっている不動産会社であれば、自社が売却の依頼を受けていない不動産でも、REINSに登録された物件を自社のお客さんに紹介することができます。ちなみにこのシステムの情報は、不動産会社などの会員しか見ることはできません。
REINSを利用することで多くの不動産会社が共同で不動産を仲介できるようになっています。実際のながれを先ほどの例で見ていきましょう。他の不動産会社をわかりやすく『いしばし不動産』とします。
石橋不動産は売主から不動産Aの売却を依頼されました。築30年の状態の良い中古住宅で価格は800万円です。ある日、いしばし不動産に中古住宅を探しているお客さんが来店します。いしばし不動産は自社が売却の依頼を受けている物件の中に、今回のお客さんに合う物件がなかったので、REINSの情報を確認します。
REINSで石橋不動産が登録した不動産Aの情報を見つけます。いしばし不動産は石橋不動産に電話して、不動産Aがまだ売れていないかどうか、まだ紹介できるか確認します。まだ売れていない場合、いしばし不動産は自社のお客さんに不動産Aを紹介することができます。
不動産会社間ではこのような共同仲介が普通に行われています。
このことからもわかるように、REINSを利用している会社であれば掲載されている物件を自社の顧客に紹介・販売することができるのです。
また、REINSの物件情報に広告の可否を記載するところがあり、そこでポータルサイト等での広告が許可されていれば、他の不動産会社もポータルサイト等に物件情報を掲載することができます。
これがすべてではありませんが、複数の違う不動産会社が同じ物件をポータルサイト等で販売・掲載しているのはこのような理由があるからです。
不動産会社にとっては紹介・販売できる物件が多い方が良いですし、お客さんにとってもより多くの物件の中から提案を受けた方が選択の幅が広がりますよね。共同仲介のしくみは、売主にとっても買主にとっても、そして顧客により広い選択肢から物件を紹介できる不動産会社にとってもメリットがあります。
どの会社から買えば良いのか
複数の違う不動産会社が同じ物件を販売・掲載している場合の要点をまとめます。
- 物件は同じで基本的に違いはない。
- どの会社で買うかによって、値引きやサービスなどに違いがある可能性あり。
物件に関しては同じ物件なので、どの不動産会社から購入しても同じ物件です。この点だけ考えれば、どこで買っても良い、同じということになります。
でも、どの不動産会社で買うかによって、仲介手数料の値引きやキャッシュバック、その他サービスなどに違いが出る可能性があるので、不動産会社選びは大切なことです。
また、キャッシュバックやサービスの確認とともに、当然ですが電話対応や接客対応などを確認して、どこが信頼できる不動産会社なのかしっかり確認しましょう。
ポータルサイトに写真が多いとか、物件の見せ方がうまいだけでは本当に信頼できる会社かどうかわかりません。
具体的にどうすれば良いかを伝えますね。間違いないのは、少し面倒かもしれませんが電話して値引きやキャッシュバック、サービスについて確認することです。また、ホームページやポータルサイトにサービスやキャンペーンの内容が載っていることもあるので、細かいところまで確認してみましょう。
それからサービスなどを比較して、どこで購入するか判断すれば良いでしょう。
土地や中古住宅ではサービスの差が出ることは少ないですが、新築建売住宅の場合では、どこで買うかによってキャッシュバックがあったり、サービスが変わることが結構あります。
当社もほとんどの新築建売住宅では、キャッシュバックなどの特典を付けています。どこで買っても物件は同じで変わりはありませんが、当社で買えば50万円くらい得することがあります。ちょっと知っているだけでかなりお得ですよ!
物件が変わらなくても、どの会社に相談するかでより良いサービスを受けたり、特典を得ることができる可能性があります。少し手間がかかるかもしれませんが、不動産会社をじっくり比較して、信頼できるのか、より良い条件で購入できるのはどの不動産会社なのか判断しましょう。
より良い判断をするために
不動産だけではありませんが、同じ物を買う場合でも、ちょっと知っているだけで得することはよくあります。買うという行為は変わりませんが、情報の差でお金や受けれるサービスが変わる可能性があるのです。
なんにでも精通するというのは難しいことですが、ちょっと調べてみるとか、いくつかの選択肢を考えてみるだけで、より良い判断ができる場合もあります。
不動産に関しては専門性が高く、経験を要する分野ですが、現在は多くの情報が公開されています。気になるキーワードについては、専門書を見てみるとか、インターネットで検索してみることも役に立つかもしれません。
インターネットで情報を検索する場合については、次の点に注意してください。1つのサイトや情報源だけを見て信じるのは危険です。
インターネット上に情報はあふれていますが、明らかに素人が書いてるのではないかと思われる場合や、間違っている場合もあります。元々詳しくない方がそれを見抜くのは難しいので、できれば同じことに関して3つくらいの情報源を見てみましょう。
基本的に宅建業の免許を持っている3つの不動産会社や弁護士事務所が同じことを書いていれば、ある程度信頼できると思います。
それらを比較してみれば、明らかに他の内容と違う場合、疑ってみる必要があります。この手法であれば、不動産に詳しくなくても判断できます。
不動産に関することは基本的に大きなお金が動きます。
正しい知識やより良い情報が違いをつくります。
本記事が、あなたの役に立てばうれしいと思います。
