中古住宅を住宅ローンで購入する流れ。手続きの方法やポイントと引渡しまでの期間。

住宅ローンを利用して中古住宅の購入を行う方法や流れ、ポイントや注意点、そして必要な期間などをわかりやすく解説していきたいと思います。

現代の社会で生活していく上で、お金を借りるという場面はたくさんありますね。車の購入や、携帯電話の分割払い、またクレジットカードの利用などは一般的ですね。もちろん、お金を借りずにすべてを購入できればいいのですが、なかなそうもいかないこともありますよね。

中古住宅・不動産を購入する場合は、特に金額が大きいので、現金一括でという方はめずらしいでしょう。なかには現金一括で購入されるお金持ちの方もいらっしゃいますが(^_^;)まあ、私を含めて多くの方は住宅ローンを利用すると思いますw

これまで車の購入などでローンを利用したことがある方なら、お金を借りるときの手続きの煩雑さや審査待ちの時のもやもや感などがよくわかると思いますが、実は住宅ローンの手続きは何倍も煩雑で、率直に言って大変です。

この住宅ローンの手続きを、落ち着いて、きちんとした判断をしながら、スムーズに進めるポイントは、ズバリ「全体の流れ」を把握してから手続きを開始することです。

たとえ大変な手続きでも、どんなことが必要なのか、どれくらいの時間がかかるのかが事前にわかっていれば、精神的な負担を大きく減らすことができます。

精神的な負担やあせりが少なくなれば、ミスが減り、判断の精度も高くなるでしょう。全体の流れがわかっていれば、多少のイレギュラーがあっても落ち着いて対処できます。

住宅ローン利用手続きの流れ

住宅ローンを利用して中古住宅・中古不動産を購入するおおまかな流れは、以下のようになります。

  1. 購入する中古住宅を決める。(物件探し)
  2. 中古住宅の価格以外に必要なお金(諸費用等)を把握する。
  3. 借り入れ金額を決める。(物件価格+諸費用等ー自己資金)
  4. 不動産会社に購入申し込み(買付証明)を行う。
  5. 事前審査申込を行う。
  6. 中古住宅の売買契約を締結する。
  7. 本審査申し込みを行い承認を得る。
  8. 物件検査の申請を行い、適合証明を取得する。(フラット35利用の場合のみ)
  9. 住宅ローンの実行、物件の引渡し。
  10. 入居

これが住宅ローンを利用して中古住宅を購入する際のおおまかな流れです。順番は購入者や不動産会社、または購入予定物件の事情等によって前後することがありますが、基本的に上記の手続きは必要となります。

フラット35を利用する場合には、特有の手続き、物件検査と適合証明の取得があります。

このため、通常の銀行の住宅ローンを利用する場合に比べて、時間がかかるということを把握しておく必要があります。その他は銀行など他の金融機関の住宅ローンを利用する場合と、大きな違いはありません。

手続きにかかる時間・期間

住宅ローンを利用して中古住宅を購入する際、仮審査申し込みから住宅ローン実行、入居までは、通常、最短でも1ヶ月以上の期間がかかります。

もし1ヶ月強ですべてを完了させようと思うと、相当タイトなスケジュールとなり、何か1つでも遅れると間に合わないという状況になります。ですので、余裕をもって2ヶ月くらいの期間を考えてスケジュールを組んだ方が良いでしょう。

中古住宅・物件探しと資金計画

まずはどの不動産の購入を検討するのかという物件探しから始まります。おおまかな予算があると思うので、インターネットで検索してみたり、希望のエリアを回って売家の看板がないかチェックします。またはそのエリアにある不動産会社に直接相談してもいいでしょう。

良い物件(自分に合った物件)を見つけるためには、可能な限りすべての手段を実行することをオススメします。正直、物件探しにかかる期間はどれくらいと確定的なことを言うことはできません。

人によっては1週間以内で購入物件が決まることもありますし、数ヶ月、数年経っても希望の物件が見つからない人もいます。とにかく可能な限りすべての手段を使って、希望の物件に出会える可能性を高めていくしかありません。

購入する物件が決まったら、引渡し条件(時期など)と物件の状態や特徴について不動産会社より説明を受けます。同時に資金計画も行います。

資金計画とは、不動産を購入するにあたり、どれくらいの資金が必要で、それをどうやってまかなうのか(自己資金・住宅ローン・贈与・補助金など)という計算を行うことです。

必要な資金は物件や購入者の条件によりますが、代表的なものをあげます。

  • 不動産の価格(物件価格)
  • 仲介手数料
  • 登記費用
  • 住宅ローン関連費用
  • 固定資産税・都市計画税精算金
  • 火災保険費用(長期一括払いの場合)
  • 印紙代
  • リフォーム費用(必要な場合)

そしてこれらの資金をどうやって支払うのかをしっかりと計画していきます。基本的には次のようになります。

自己資金 + 住宅ローン + 贈与(該当する方のみ) + 各種補助金(利用できる補助金がある場合)

自己資金はほとんど使わず住宅ローンだけという方や、親からの贈与がある方、自治体等から補助金が受けられる方など、ケースバイケースです。このあたりは、ご自身の状況をしっかり把握し、また不動産会社や金融機関の担当者と相談して決定しましょう。

補助金

上記で補助金の件に触れましたが、自治体(市区町村など)によっては、不動産を購入して居住する方に補助金が出る場合があります。

もちろん、すべての自治体ではありませんので、あなたが不動産を購入する地域が決まったら、役所に確認してみましょう。こうした補助金は多くの場合、自動的にもらえることは少なく、自分で調べて申請しないといけません。

自治体のホームページを確認したり、直接自治体に電話して、中古住宅を購入して住もうと思うのですが、なにかもらえる補助金はありますかと聞いてみましょう。

購入申し込み

必要期間の目安:約1週間

資金計画を行って、納得できる計画ができたら、不動産会社に希望物件の「購入申し込み」を行います。「購入申し込み」は契約ではありません。不動産会社および売主に対して、購入の意志を書面で伝えるものです。

購入申込書には、以下のような事項を記入します。

  • あなたの住所・氏名・年齢・連絡先
  • 購入希望価格
  • 契約及び引渡し希望日
  • 住宅ローン利用の有無や金額
  • その他希望条件等

申込書は不動産会社等によって書式が異なり、記入する内容も多少変わってきます。内容をしっかり確認して、あなたの希望を間違いなく記入しましょう。

またこれは契約ではないので、基本的にはキャンセル可能です。購入申し込みには、意思表示とともに、あとで他の人が購入を希望した場合も、一定の期間、先に購入申し込みを行った人が契約を行う優先権の確保のような意味もあります。わかりやすく言うと、物件をおさえるというような意味合いになります。

また、あなたが行う購入申し込みの内容に対して、売主が了解した場合、売り渡し承諾書(呼び方や内容、通知方法は不動産会社や物件によって変わります。)を受け取ります。内容によっては条件変更を求められたり、不承諾の場合もあります。

不動産会社や購入希望物件によっては申込金(10万円程度)が必要な場合があります。キャンセルのやり方や条件、購入申し込みの有効期間、申込金の有無など、申し込みを行う場合は必ず事前に確認してから購入申し込みを行いましょう。

事前審査

必要期間の目安:3日~1週間

購入物件、金額、その他必要資金等が決まったら、借り入れ希望先の金融機関で事前審査を行います。住宅ローンを利用するには基本的に「事前審査(仮審査)」と「本審査」の2つの審査を通過する必要があります。

事前審査では金融機関が、購入希望者の年収や勤務先、年齢、過去のローンの返済履歴など、規定の項目を確認することで、希望額のローンを借りられるのかどうかを審査します。

まずはこの「事前審査」を通過しないと「本審査」に進むことはできません。

補足

「事前審査」を通過すれば、多くの場合「本審査」も通過する場合が多いです。ただし、本審査では事前審査よりも詳細に、借り入れ希望者や購入物件について審査を行うので、事前審査を通過すれば、絶対に本審査を通過するというわけではありません。

実際に、まれですが、事前審査を通過したのに本審査で不承認(落ちた)というケースを見ることがあります。

理由としては、主に以下のようなことが考えられます。

  • 仮審査から本審査の間に勤務先が変わった。
  • 仮審査後に新たな借り入れを行った。
  • 購入物件の詳細な審査で問題があった。

売買契約と本審査

必要期間の目安:10日から2週間

事前審査を通過したら、基本的にはお金の支払いのメドができたということになるので契約、本審査に進みます。

不動産会社より、重要事項説明を受け、金額や条件など、内容に問題がなければ正式に売買契約を交わします。

そして金融機関へ本審査の申請を行います。参考に、一般的な金融機関の住宅ローン本審査で必要になる、書類や準備するものの一覧は以下のようになります。

買主(住宅ローン利用者)が準備するもの

  • 金融機関の申込書類一式
  • 所得証明書(住民税課税証明書。直近年度分。フラット35の場合は直近2年分)
  • 住民票(世帯全員の記載がある分。通常、本籍記載が「無いもの」。)
  • 運転免許証および健康保険証の写し
  • 源泉徴収票(原本またはコピー)
  • 実印
  • 借入先金融機関の通帳
  • 通帳印
補足
金融機関や買主(住宅ローン利用者)の状況により、その他の書類等を求められることもあります。

例)

  • 給与明細・賞与明細(勤続期間が短い場合)
  • 手付金領収書
  • その他

不動産業者が準備するもの

以下のものは一般的に不動産業者が準備します。

  • 売買契約書・重要事項説明書の写し(署名捺印・印紙および割印あり)
  • 物件資料(各種図面・パンフレット・地図など)
  • 土地・建物謄本(原本)
  • 接道要約書または謄本(原本)
  • 建物配置図
  • 公図
  • リフォーム見積書(リフォームを行う場合)
  • その他金融機関が求める書類

住宅ローン実行と引渡し

必要期間の目安:3週間から1ヶ月

はれて住宅ローンの本審査の承認がでれば、いよいよ住宅ローンの実行と引渡しの準備に入っていきます。必要な期間はケースバイケースですが、いろいろとやることがあるので、3週間くらいは最低でも考えていた方が無難でしょう。

おおまかな流れは以下のようになります。(順番は状況により前後することがあります。)

  1. 引渡し日の決定(不動産会社が調整)
  2. 住民票の移転
  3. 金銭消費貸借契約
  4. 司法書士による本人確認
  5. 購入予定物件の最終確認
  6. 住宅ローンの実行と引渡し

最低でもこれくらいの手続きが待っています。

住宅ローンの実行、引渡しは、通常融資を受ける金融機関の店舗で行います。出席するのは、買主であるあなたと、売主、不動産会社、司法書士です。それぞれの日程を調整し、全員が出席できる日を確定します。

次に購入物件の所在地に住民票の移転を行います。それから金融機関との金銭消費貸借契約の締結・司法書士による本人確認、物件の最終確認などをへて、住宅ローン実行の日をむかえます。

住民票の移転はいつ?
中古住宅を購入して住む場合、基本的に住民票は引渡し前に行います。

不動産売買において、引渡しとお金の支払いは同時に行います。買主がお金を払ったのを確認して、司法書士は不動産の所有者が買主である(買主が変わった)という登記の手続きを行います。

登記簿には買主の名前と住所が記録されるのですが、その住所は住民票などをもとに申請されます。だからもし、買主の住所を移転していなければ、不動産の所有者の欄には住民票に記載された以前の住所が記録されることになります。

そのため、本来は住民票の移転は入居してから14日以内などのきまりがあるのですが、実際にはほとんどの場合、引渡し(入居)前の金融機関の手続きまでに住民票を異動するということが行われているのです。

いろいろありますが、必要なものやタイミングは不動産会社や金融機関がきちんと伝えて、サポートしてくれます。

フラット35の場合、民間金融機関との手続きの違い

ここまでの説明では、基本的に○○銀行、○○信用金庫などの民間金融機関独自の住宅ローンを利用する場合の手続きについて説明してきました。

住宅ローンには、この民間金融機関独自の住宅ローンの他、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する「フラット35」というがあります。

住宅金融支援機構とは?
国土交通省と財務省が管轄する独立行政法人です。むかしは住宅金融公庫という名前でした。

住宅ローンを借りるのにあまり関係がないことなので、ごく基本的な説明にさせていただきますが、住宅金融支援機構の主な役割は、民間金融機関が長期で低金利の住宅ローンを一般に提供するための、資金的、またはリスク負担の支援を行っています。

民間金融機関にとって、長期でしかも低金利での融資というのは、あまり儲からないし、リスクも大きいわけです。簡単に言えば、その辺を住宅金融支援機構がサポートしているということです。

ちょっと複雑ですよね(^_^;)

詳しい内容はまた別のブログで書かせていただこうと思いますので、ここでは基本的に以下の特徴だけつかんでいただければ大丈夫です。

フラット35の特徴

  • 全期間固定金利(最長35年)。
  • 建物の住宅性能を重視した審査を行う。
  • 保証料がかからない(事務手数料はかかる)。
  • 繰り上げ返済手数料がかからない(ただし最低100万円以上からしか繰り上げ返済できない)。
  • 勤続年数が短かったり、個人事業主の方、会社経営の方、契約社員の方でも審査に通りやすい。

フラット35での手続きの流れや期間は

基本的な流れは、民間金融機関の住宅ローンと大きな違いはありません。必要な書類もだいたい似ています。

ただ、上記の特徴にある「建物の住宅性能を重視した審査を行う。」という部分に関わるのですが、住宅ローンの審査の中で、建物自体の検査があります。

そして、この検査に合格した物件でないと融資がでません。たとえあなたの収入が十分で、支払いに全く問題がなくても、購入予定物件が検査を受けて、規定に「適合」しないと審査に通らないのです。

この検査は、住宅金融支援機構が定める一定の技術基準に建物が適合しているかどうかを確かめるためのものです。検査は機構認定の検査機関または適合証明技術者によって行われます。費用は検査機関や技術者によって違いますが、大体5万円前後です。

技術基準を満たしているということが確認されれば、適合証明書が発行されます。この証明書がないとフラット35のローンは出ません。

この適合証明のための検査や、証明書発行には最低でも2週間くらいはかかります。また、検査の費用も必要となります。ここが、民間金融機関の住宅ローンと比較した手続き、そして必要な期間の主な違いです。

まとめ

住宅ローン利用の手続きの流れや、かかる期間について説明させていただきました。

どうですか?結構大変そうでしょうw

でも、心配しないでください!なぜなら、大変とはいえこれまでも日本全国で多くの方が住宅ローンを利用してきているからです。多くの方が通ってきた道。全体像を押さえれば、スムーズに手続きを行うことができます。

例えば、明るい道を歩いているとき、ほとんどの人はあまり不安を感じることがありませんよね。ただ同じ道でも、真っ暗で先が見えない場合はどうでしょうか?不安でしかたないですよね。先に何があるのか、どこまで道が続くのかがわからないと、人は大きな不安やプレッシャーを感じます。

これから住宅ローンを利用して中古住宅を購入する方々に、この記事を住宅ローンの全体像の把握、「道しるべ」として利用していただければ幸いです。

注意
この記事で書いたことは、一般的な事柄です。利用する金融機関や購入する不動産会社によってはあてはまらない場合もあります。実際に住宅ローンを利用する場合は、かならず金融機関や不動産会社に内容をご確認ください
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