不動産の査定だけを依頼する方法としつこい営業を防ぐポイント

不動産の査定だけを依頼する方法としつこい営業を防ぐポイント

不動産会社に不動産の査定だけを依頼することはできます。

すぐに売るつもりがない場合、全く売るつもりがない場合でも、査定依頼はできます。通常、費用もかかりません。

ただし、注意点はいくつかあります。不動産の査定方法によっては、必要なことを伝えたうえで査定を依頼しないと、しつこい営業を受ける可能性があります。

この記事では不動産会社に不動産の価格査定だけを依頼する場合の方法と注意点について解説します。

この記事でわかること
  • 一般的な不動産の査定依頼方法
  • 不動産の査定だけを依頼するときにおすすめの方法
  • 不動産の査定でしつこい営業を防ぐポイント
  • しつこい営業を受けた場合の対処方法

不動産の査定を依頼する方法

最初に、不動産会社に価格査定を依頼するときの一般的な方法について解説します。不動産会社に価格査定を依頼する方法はいくつかあります。

注意点としては、不動産会社が出す査定価格は、様々な情報からその不動産会社独自の基準で算出した価格になります。必ず査定価格で売れるという保証はありません。

また、不動産会社によって査定価格は違うことがあります。より正確に価格をつかむためには3社~5社くらいの複数社に依頼することをおすすめします。

AI査定

AIを使った査定。精度が低い可能性がある。

簡易査定(机上査定)

電話やメールで相場や売却できそうな価格を聞く方法。

訪問査定

不動産会社に不動産を確認してから査定してもらう方法。

一括査定

一括査定サイトから複数の不動産会社に査定を依頼する方法。

AI査定

AI査定とは

AIによる自動的な査定。匿名とそうではない場合がある。

メリット

すぐに結果が出る。あるエリアの相場がわかる可能性がある。

デメリット

精度が低い。複雑な条件に対応していない。

AIを使った査定のことで、所在地や物件の種類、面積、築年数などを入力することで、AIが過去の成約事例などから自動的に査定価格を出します。

匿名で利用できるサイトもありますが、名前とメールアドレスなどが必要なサイトもあります。

査定価格の精度は高くありません。AI査定では、基本的に過去の成約事例などから所在地、面積や築年数などを元に査定価格を出しています。

不動産が本当に売れる価格は、立地や面積、築年数の他に、建物のグレードや状態、接している道路の種類や幅、周辺の状況、タイミングなど、その他多くのことが複雑に影響して決まります。

土地であっても、所在地と面積だけで価格は決まりません。

AI査定では複雑な条件を反映することができません。AI査定で出た価格は、実際に不動産が売れる価格に近い場合もあれば、全く違っているという場合もあります。

結論としては、あまり参考になりません。

あるエリアの一般的な相場を確認するために利用することはできると思います。

簡易査定

簡易査定とは

電話やメールで相談して価格を聞く方法。現地訪問はしない。

メリット

ある程度正確な価格が出る可能性がある。

デメリット

訪問査定よりは正確性が劣る可能性がある。

簡易査定(机上査定)は、不動産会社に電話やメールで問い合わせて、ある程度の価格を教えてもらう方法になります。

どのような情報が必要かは、問い合わせた会社によりますが、次のようなことを聞かれることが多いでしょう。

  • 所在地
  • 土地・建物の面積
  • 建物の築年数
  • 現在の利用状況
  • 問い合わせた人が所有者なのかどうか
  • 建物を建てたメーカーや会社について
  • 建物の状態
  • 接している道路の幅や公道・私道の別
  • 住宅ローンが残っているかどうか
  • 売却理由
  • いつ頃売りたいのか

わからない場合は、わからないで構いません。

不動産会社は、依頼者からの情報を元に、不動産会社の販売実績や地域の相場を確認して、独自の基準で査定価格を出します。

査定価格の精度としては、ある程度高いと思います。特に査定する不動産に近い場所の不動産会社であれば、より精度が高くなる可能性があるでしょう。

査定依頼は、不動産の所在地の近くの不動産会社に依頼することをおすすめします。依頼する不動産と同じ、または近くの市区町村や区内にある不動産会社がよいでしょう。これは訪問査定でも同じです。

査定を依頼する不動産から、ある程度遠い場所にある不動産会社でもなんとか査定はするでしょう。しかし、現実として、地域の相場をより正確につかんでいるのは、その地域の不動産会社であることが多いと思います。特に地方になるとこの傾向が強いと感じます。

ある程度精度が高い簡易査定ですが、より正確に価格をつかむためにはやはり訪問査定が必要になります。

訪問査定

訪問査定とは

現地を確認してから出す価格査定。

メリット

査定方法の中では最も正確な査定を出せる可能性がある。

デメリット

日程調整や現地確認などに時間と労力がかかる。

訪問査定はその名の通り、不動産会社が実際に対象の不動産を訪問してから査定価格を出す方法です。

簡易査定で確認したことに加えて、現地で実際に見ないとわからないことを確認します。

訪問査定では、現地で土地や建物を見たり、所有者にヒアリングを行って査定を進めます。同じくらいの築年数の建物でも、状態が大きく違うことがあります。このあたりは実際に不動産を見てみないとわかりません。

また、対象の不動産だけではなく、周辺の状況や雰囲気も確認します。こうしたことも査定価格に影響します。

訪問査定で出た価格が、必ず市場で売れる価格という保証はありませんが、最も精度の高い査定方法だと思います。

訪問査定では、他の査定方法に比べて時間や労力がかかります。現地を見てもらうための日程調整などのやりとりが必要であったり、現地確認時の立会いが必要になることがあります。

一括査定サイト

一括査定とは

一括査定サイトから同時に複数の不動産会社に査定依頼を出す方法。

メリット

複数の会社の査定が出るので幅広く検討できる。競争原理が働く。

デメリット

複数の会社とやり取りする必要がある。時間と労力がかかる。

一括査定サイトに必要な情報を入力して、複数の不動産会社に対して同時に査定依頼を出す方法になります。

一括査定サイトで査定を依頼すれば、その一括査定サイトに登録した不動産会社から連絡があり、査定の話を進めることになります。電話やメールでやり取りした後は、訪問査定をする場合が多いでしょう。

必要な情報は一括査定サイトだけに入力すれば済むので、複数の不動産会社のサイトで入力したりする必要はありません。手軽に複数社に査定を依頼したい場合におすすめの方法です。

その他のメリットととしては、複数の不動産会社が査定をするので、より高い精度の査定ができる可能性があるということです。不動産会社独自の基準で査定をするので、金額はそれぞれで違う場合があります。不動産所有者は複数の査定結果から幅広く判断をすることができます。

一方で、複数の不動産会社とやり取りしたり、訪問査定の調整をする必要があるので、どこか1社に依頼する場合と比べると、時間と労力が必要になります。

査定を依頼できる不動産会社は、利用する一括査定サイトに登録した不動産会社になります。ある地域のすべての不動産会社に査定を依頼できるわけではありません。

一括査定サイトによっては、所在地などの条件を入力すれば、対応可能な不動産会社が表示されます。そしてその中から依頼する不動産会社を選ぶというシステムを採用している場合があります。

一括査定サイトに登録している不動産会社は、それぞれの一括査定サイトによって違います。中には複数の一括査定サイトに登録している不動産会社もあります。

一括査定サイトに登録できる不動産会社の基準は、それぞれの一括査定サイトが独自に決めています。

査定だけを依頼するおすすめの方法

査定だけならおすすめは簡易査定

不動産を売るつもりはないけど、価格だけ知りたくて査定を依頼する場合、おすすめの方法は電話などでの簡易査定(机上査定)になります。

もし、あるエリアの一般的な価格相場が知りたいというのであれば、AI査定でもよいかもしれません。

一括査定サイトについては、不動産会社は基本的に、売却するつもりがある方から依頼があるという前提で考えています。当社も不動産会社の立場から正直に言うと、売るつもりがないのに一括査定サイトを利用するのはやめて欲しいと思います。多くの一括査定サイトは不動産会社に対して、査定依頼1件につきいくらという課金をしています。

査定だけなら簡易査定がおすすめの理由

不動産がどれくらいの価格で売れるのか知りたいという場合は、なんらかの理由があると思います。理由は人それぞれでしょうが、査定価格にある程度の精度であったり正確性がないと、情報としては使えないと思います。査定の精度を考えると、簡易査定または訪問査定が候補になるでしょう。

一方で不動産会社にとって査定というのは、基本的に売却依頼を受けるための営業活動であります。不動産会社は価格査定をするだけではお金をもらうことができません。売却依頼を受けて、買い手を見つけて、契約をしてはじめて仲介手数料という報酬を得ることができます。

不動産会社としては、お金にならないことはあまりやりたくないというのが本音でしょう。ただ、これはそれぞれの不動産会社の考え方によるでしょうが、不動産のプロとして、一般の方の役に立ったり、頼りにされるというのは、ある意味うれしいことでもあり、社会に期待されている役割でもあるとも思います。

いろいろな業務がある中で、全く売るつもりがない方の不動産について、かなりの時間を使って訪問査定をするというのは通常は難しいと思いますが、電話などでの相談であれば対応できる会社はあります。

当社でも、そういったお電話やメールをいただいた場合は、真摯に対応しています。また、近くであればついでにちょっと寄って、不動産を確認してから見解を伝えることはあります。

査定だけの相談の場合でも、”売るわけではないのに相談に乗ってくれてありがとうございます。”と言っていただいたときは、うれしく思います。また、プロとして少し誇らしく感じます。

しつこい営業を防ぐ方法

依頼理由を伝えてから査定してもらう

査定後のしつこい営業を防ぐためには、始めに査定を依頼する理由を正直に言ってください。

売るつもりがないけど価格だけ知りたいのなら、その通りに伝えてください。

その上で査定をしたり、相談に乗るのであれば、あとでしつこく営業をすることは基本ないと思います。もしあったとしても、最初に正直に伝えたうえで、不動産会社が了解して査定をしているのだから、堂々と断ることができます。断っても理屈が通ります。

逆に、適当なことを言って査定を依頼した場合、基本的に不動産会社は売却依頼を得るつもりで営業してきます。

会社によってはしつこい営業をしてくる場合もあるでしょう。まあ、会社というか、例えばノルマを課された不動産営業マンなら、なんとか売却依頼を得ようと粘る可能性は十分考えられます。

不動産会社の対応を見る

正直に理由を伝えて、不動産会社が査定依頼を断ったり、適当に対応する場合はどうすればよいのでしょうか。

答えは単純。

別の会社に頼めばよいのです。

不動産会社はたくさんあります。対応が納得できなかったり、適当な対応をする不動産会社に頼む必要はありません。

どちらにしても、価格の正確性をある程度高めるためには、3社~5社に電話した方がよいでしょう。

また、あまりお金にならない相談に対応する姿勢を見れば、その不動産会社の本質を理解することができるかもしれません。もし、きちんとした対応をする会社であれば、将来売却を依頼するときの参考にもなります。

しつこい営業を受けた場合の対処方法

もし、やるべきことやってもしつこい営業をされた場合はどうすればよいのでしょうか。

全ての不動産会社がやさしく、紳士的とは限らないので、いくつか対応方法を挙げてみます。

まずは、営業されたくない場合ははっきりと、丁寧ですがしっかりとした口調で何度か営業を断ってみてください。それでも収まらない場合は次のような対応が考えられます。

※ここで紹介する対応は、全てにおいて通用するという保証はありません。ご自身で判断してください。

事実を記録する

事実をできる範囲で詳細に記録してください。

例えば、何月何日何時くらいにどんな電話があったとか、日時、内容などをメモでもパソコンでも記録できるものに記録してください。

パソコンなどのデータで記録する場合は消さないように気を付けて、バックアップを取ったり、印刷するなどしてください。

記録することは次のようなことになります。

  • 電話や訪問などコンタクトがあった日時。何年何月何日何時何分など。
  • どれくらいの時間的長さだったかということ。
  • 相手の名前、役職。
  • 相手の口調や態度。
  • 相手の伝える内容。
  • 相手からの営業などの回数や頻度。
  • メールやメッセージなどであればそのデータを保存。

相談する

記録を取ったあとは、これ以上続ければ、次のような機関に相談すると、相手方に丁寧に警告してください。

  • 宅建協会などの業界団体
  • 宅建業の監督官庁
  • 消費者生活センター

宅建協会などの業界団体が各都道府県にあります。不動産会社がどの協会の会員なのかはホームページなどに載っていることが多いと思います。業界団体には通常、消費者の相談窓口があります。

また、宅建業の監督官庁に相談する方法もあります。宅建業の免許には都道府県知事免許と国土交通大臣免許があります。都道府県免許の場合、監督官庁は都道府県になります。国土交通大臣免許の監督官庁は国土交通省になります。免許によって、都道府県または国土交通省に相談してください。

消費者生活センターでは、消費生活全般についての苦情や問い合わせなど、消費者からの相談に専門の相談員が対応してくれます。

もし、警告してもやめない場合は実際に相談するしかないでしょう。

それでも解決しない場合については、不動産会社がアドバイスすることは難しいと思います。弁護士や警察に相談する必要があるかもしれません。

まとめ

不動産の査定だけをしてもらいたい場合の方法や注意点について解説しました。

別に売るつもりがなくても、不動産の価格を知りたいということはあるでしょう。

もし、査定だけしてもらいたい場合は、本記事を参考に、不動産会社に問い合わせてみてください。いろいろな不動産会社があるので、どんな対応をするかはわかりません。

当社の感覚としては、別に売るつもりがなくてもきちんと相談に乗る会社は結構あると思います。

実際に地域の相場を詳しく理解しているのは、その地域の地元の不動産会社という場合が多いと思います。査定したい不動産のあるエリアの不動産会社を何社かピックアップして、電話してみるというのが現実的な対応かなと思います。

この記事が読者の方のお役に立てばうれしく思います。

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株式会社 石橋不動産