不動産売買の契約書に貼る印紙について基本的なしくみと貼り方の解説。誰がいくらの印紙を貼るのか。

売買契約書のイメージ画像

不動産売買契約を交わして、契約書を作成したら印紙を貼る必要があります。

正式には収入印紙と呼ばれます。これは必要な金額の印紙を購入して、契約書に貼ることで印紙税という税金を納めるのが目的です。つまり印紙は国が、税金を徴収するための手段なのです。印紙税法という法律があり、印紙について細かく規定されています。

印紙税はなんとなくマイナーな税金だというイメージがありますが、実は収入印紙による国の収入(税収)は、年間1兆円を超えています!たばこ税や酒税に引けをとらない金額です。収入印紙による税収は国にとって、とても大きなものなのです。

不動産の売買契約の場合に貼る印紙については最低限、次のことを理解しておく必要があります。

  • いくらの印紙を貼るのか。
  • いつ、誰が印紙を貼るのか(誰が印紙代を負担するのか)。
  • 印紙の消印のやり方。
  • 印紙を貼らないとどうなるのか。また、契約書は有効なのか無効なのか。

この記事ではこれらのことについて、くわしく説明させていただきます。また、始めに印紙についての基本的な知識についても触れさせていただきます。

お読みいただくことで、実際の不動産売買の時に印紙について悩むことがないようになっていただけると思います。ぜひご一読ください。

なぜ売買契約書に印紙が必要なのか

印紙税とは、印紙税法で定められた課税文書に課される税金です。簡単に言うと、国が課税文書と指定する種類の文書を作成したときに払わないといけない税金です。

課税文書には次のようなものがあります。代表的な例をあげてみます。

  • 不動産、鉱業権、船舶や航空機に関する契約書
  • 消費貸借(融資、ローンなど)に関する契約書
  • 請負(建築工事など)に関する契約書
  • 約束手形、為替手形
  • 株券、車載、投資信託などの受益証券
  • 3ヶ月を超える継続的取引の契約書
  • 預金証書、貯金証書

他にもさまざまな文書が印紙税の課税文書と規定されています。※印紙税全般について詳しく知りたい方は国税庁サイト内の“印紙税の手引き”をご覧ください。

不動産の売買契約書も、印紙税法で課税文書と規定されています。だから不動産売買契約書には印紙を貼る必要があるのです。

具体的には、売買契約書に規定の金額の印紙を購入して貼り付けて印紙税を納付(支払い)します。また、印紙は貼り付けるだけでなく、印鑑か署名などにより必ず消印を行わなければいけません。

領収書の印紙税
売上代金の受取書、つまり領収書にも印紙税がかかります。しかし一般の個人が売主で、住んでいた不動産やセカンドハウスを売買する場合発行する領収書は、営業に関しない受取書とされ印紙税は必要ありません。個人が売主でも投資用の不動産等は印紙税が必要になる場合があります。

印紙代はいくらかかるのか

印紙税は課税文書の種類と、記載された金額によって税額が決まります。具体的には売買契約書に記載された金額、売買代金によって決まります。

印紙の金額

必要な印紙の金額は下の表のとおりです。本来は本則税率の欄の金額の印紙が必要ですが、現在は軽減税率が適用されているので、10万円を超える記載金額の場合は通常より安くなっています。

契約書の記載金額 本来の税率(本則税率) 軽減後の税率
1万円未満(9,999円以下) 非課税 非課税
1万円~10万円以下 200円 200円(変わらず)
10万1円~50万円以下 400円 200円
50万1円~100万円以下 1,000円 500円
100万1円~500万円以下 2,000円 1,000円
500万1円~1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万1円~5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万1円~1億円以下 60,000円 30,000円
1億1円~5億円以下 100,000円 60,000円
5億1円~10億円以下 200,000円 160,000円
10億1円~50億円以下 400,000円 320,000円
50億1円~ 600,000円 480,000円
記載金額がない 200円 200円(変わらず)

軽減税率は平成32年(2020年)3月31日までとなっています。くわしくは国税庁の軽減措置に関するサイト、“不動産売買契約書の印紙税の軽減措置”をご覧ください。

※こちらで示しているのは不動産の売買契約書等に貼る印紙の額です。領収書やその他の種類の課税文書に貼る印紙の額は、それぞれ別に定められていますのでご注意ください。

消費税は記載金額に含まれるのかについて

ここまで、印紙税は契約書などの課税文書に記載されている金額によって決まるということをお伝えしました。ここでひとつの疑問が湧いてきます。記載されている金額で決まるというけど、それは税込みの金額で決まるのか、税抜きの金額で決まるのかということです。

答えは、契約書などに本体価格と消費税が別々に記載されている場合、または税込金額と税抜金額が記載されている場合、“記載金額”は税抜金額となります。つまり消費税は含めないということです。

逆に消費税込みの金額のみが記載されていた場合は、消費税込みの総額によって印紙税額が決まってしまいます。

不動産の場合、土地に消費税はかかりません。また建物も個人が自宅を売るなどの場合、消費税はかかりません。※個人が売主でも事業用の建物には消費税がかかります。

印紙はどこで買うのか?

印紙は郵便局や法務局で購入することができます。窓口で「~円の収入印紙をください。」と伝えましょう。

また、コンビニでも買えます。ちなみにセブンイレブンのnanacoカードなどでも購入することができます。ただし、コンビニでは1,000円を超える高額な印紙は扱っていない場合が多いです。

その他、ネットオークションや金券ショップでも扱っている場合があります。

ほとんどの方は郵便局、または200円の場合は郵便局かコンビニで購入しています。

印紙はいつ、誰が貼るのか

印紙税の納税義務者

印紙税の納税義務者、つまり印紙を貼る義務がある人は、課税文書の作成者とされています。

不動産売買の場合、実際に契約書の作成を行うのは不動産業者ですが、ここで言う課税文書の作成者とは、契約の名義人として契約書に署名・捺印を行う売主と買主になります。

ポイント
不動産売買で契約書に印紙を貼るのは、契約名義人である売主と買主です。

契約書を複数作成したら、その分だけ印紙を貼る必要がある

印紙は作成した課税文書ごとに貼る必要があります。売買契約書は通常、売主用と買主用の2通作成するので、売主・買主がそれぞれ印紙を購入し、貼って消印しないといけません。

印紙税法では、「課税文書を2以上の者が共同で作成した場合、連帯して印紙税を納める義務がある」と規定しています。連帯して納税義務があるというのは、正確に言うとそれぞれが納税義務があると言うわけではありません。

連帯して義務を負うというのは、契約書の共同作成者である売主と買主が納税に対する全責任をそれぞれが単独で負うという意味で、どちらか一方が印紙税を全額負担してもいいし、法律上負担の割合は関係ありません。考え方は借金の連帯保証人と同じですね(笑)。保証人と連帯保証人は違いますよね。

ただし、実際にはほぼすべての場合、印紙税の納税義務は売主・買主が公平に負担しています。それぞれが保有する契約書に、それぞれの負担で印紙を貼るというのが実情です。一般的な感覚から考えてもこれが妥当ですよね。

また、一般的な売買契約書の約款には、「収入印紙は売主・買主が平等に負担する」という内容が記載されていることがほとんどです。

契約書のコピーを利用した印紙税の節約

印紙は作成した課税文書ごとに貼る必要があるとお伝えしましたが、契約書のコピーには印紙を貼る必要がありません。

例えば売買契約書を1部作成して売主・買主が署名捺印したあとコピーを取ります。そして買主が原本を受け取り、売主がコピーを受け取りそれぞれ保管するとします。この場合、原本には当然印紙を貼らないといけませんが、売主の受け取ったコピーには貼る必要がありません。

通常買主は今後の確定申告や減税の申請、ローンの融資などさまざまな場面で原本が必要になる可能性があります。一方で売主はもう自分の所有するものではなくなるので、あまり原本の必要性が高くないと考える場合があります。また、コピーでも契約の内容を証明する能力があります。(裁判等になった場合は、原本の方が証拠能力が高いと判断される可能性はあります。)

このような理由から、まれに印新税の節約のため、売主が受け取って保管する分に関してはコピーしたものにするということもあります。ただし注意点として、コピーした契約書に署名捺印等すれば、これは課税文書となりますので、印紙を貼る必要が出てきます。

売主が契約書の原本が必要ないと考える場合は、こうした手法を用いることで取引全体にかかる印紙税を節税する方法もあります。

印紙はいつ貼るべきなのか

契約書に売主、買主双方が署名・捺印して契約の効力が発生したときに貼って消印しないといけません。

印紙税法では契約書に印紙を貼る時期は、「証明の時」とされています。契約とは、契約当事者の合意を証明するものです。つまり「証明の時」とは契約が成立したときと考えていいでしょう。

実際の売買契約の際は、契約締結時にあらかじめ必要な金額の印紙を準備して、契約時に貼り付けて消印します。

印紙のない契約書は有効?無効?

印紙を貼らなかったらどうなるか。

契約書に必要な印紙を貼っていない場合、本来貼るべき印紙の3倍の額の「過怠税」が罰として課されます。

これは、本来納めるべき税金を支払っていないということなので脱税行為なのです。基本的に「知りませんでした」というのは通用しないので、印紙税は正しく納めましょう。印紙税も、所得税や法人税などと同じで税務署による税務調査の対象となります。

※印紙を貼っていない場合で、税務署による調査が行われる前に、自ら印紙を貼っていないことを認めて申告した場合は1.1倍の過怠税が課されます。自己申告したら罰則が軽くなるというようなものですね。

参考ページ:国税庁のページ:『過怠税について』

注意
正しい金額の印紙を貼ったとしても、所定の方法で消印をしていないと過怠税が課されます。印紙は貼るだけじゃなく消印もしないといけないということです。

消印は、印紙と文書両方に判明にかぶるように印章を押す(印鑑)、または署名をすることで行わないといけません。単に「印」と記載したり、斜線を引いたりしただけでは消印とは認められません。

消印の目的は、印紙の再利用を防止するということです。したがって印紙税法上は、売主、買主双方の消印を行っても、どちらか一方がだけが行っても、所定の方法で消印をすれば問題ありません。

消印に関して詳細な情報は国税庁のページ:『印紙の消印の方法』をご覧ください。

印紙を貼っていない契約書は有効なのか。

印紙が貼っていなくても、基本的に契約の効力に変わりはありません。契約が成立するかどうかや契約書の内容の証拠能力というのと、印紙による税金については全く別の問題なのです。

たとえば印紙が貼っていない契約書でも基本的に契約の内容は有効です。契約が無効なのは、契約者に契約能力がなかったり(未成年や成年被後見人)、詐欺や脅迫によって契約を交わした場合などです。印紙が貼っていないかどうかと、契約書の内容は基本的に関係ないのです。

ただし、先に説明させていただいたように、規定の印紙を貼っていない場合は脱税であり、過怠税の対象となります。

また、税務署や自治体に補助金や減税の申請をする際、売買契約書を提示したり写しを提出することがあります。この場合、印紙を貼って消印をしていないと申請を受け付けてもらえません。その他にも住宅ローンの申請を行う際、金融機関に売買契約書や建築の請負契約書を提出する必要がありますが、この場合にも基本的に印紙+消印がないと受け付けてもらえません。

印紙は、契約書の有効性とは基本的に関係ありませんが、納税の義務を果たすため、また様々な申請や実務上の問題を起こさないためにも、必ず規定の印紙を貼って消印を行ってください。

まとめ

売買契約書に貼る印紙について、さまざまな視点から解説させていただきました。売買契約の場合のポイントは次のとおりです。

売買契約書と印紙
  • 印紙は基本的に売主・買主双方がそれぞれ負担し、契約書に貼る義務があります。
  • 印紙を貼るだけでなく、消印も行う必要があります。
  • 印紙税の額は、現在減税中で安くなっています。(平成32年3月31日まで)
  • 必要な額の印紙を貼っていないと過怠税(3倍)を課される可能性があります。
  • 印紙を貼っていても、消印をしていない場合には過怠税を課される可能性があります。
  • 契約書の有効性と、印紙の有無は基本的に関係ありません。
  • 契約書に印紙を貼っていないと、過怠税の他、様々な申請で支障をきたす可能性があります。

いろいろと複雑な感じもしますが、基本は売買契約を交わしたら必要な額の印紙を貼りつけて正しく消印するだけです。

売買金額によっては、印紙代もかなりの額になりますのでびっくりすることもありますが、基本的に必要なことですので、売買の諸費用としてあらかじめ計算しておきましょう。また、印紙代は、売却の場合は譲渡費用、購入の場合は取得費となり、税務上の経費として認められます。

今回の記事が、不動産売買を行う方のご参考になれば幸いです。最後までお読みいただき誠にありがとうございます。

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